コーチのサダメ


 現在、サッカーのルール(Law of the Game)は17条からなっています。 1863年12月、アソシエーション・フットボールとして統一ルールが定められた当初は 14条だったといいますが、その後改良を加えられながら今日の17条になりました。 これに、ペナルティーマークからのキックなど新たな1条を加えようという話もありますが、 今のところ17条です。 17条の内訳は次のようになっています。

第1条 競技のフィールド
第2条 ボール
第3条 競技者の数
第4条 競技者の用具
第5条 主審
第6条 副審
第7条 試合時間
第8条 プレーの開始および再開
第9条 ボールのインプレーおよびアウトオブプレー
第10条 得点の方法
第11条 オフサイド
第12条 ファウルと不正行為
第13条 フリーキック
第14条 ペナルティーキック
第15条 スローイン
第16条 ゴールキック
第17条 コーナーキック
 この中で、審判の試験に最もよく出題されるのが第12条。 最も抽象的で、最も理解力を要し、最も審判の資質が問われるのも第12条。 ミニサッカーや草サッカー、路地裏のサッカーなどに唯一共通して適用しうるのもこの第12条です。 おっと、話が逸れてきました、話を17条という数字に戻しましょう。

 17条といわれてふと連想したのは、我が国で初めて定められたと言われる聖徳太子の憲法です。 小生、学生時代より歴史が苦手でとんと勉強してきませんでしたが、 改めて読み囓ってみると「えっ?」と思うほどの内容。 で、この17条、サッカーの指導論にコジツケてみても結構面白い。 そこで、これをもじって、コーチの行動規範をでっちあげてみました。 悪巫山戯をしようというわけではないのです。 そのくらい普遍的なことが綴られているということかもしれません。

デルピエ〜ロ



聖徳太子「十七条憲法」曲解

  1. 和をもって尊しとなす。
     和をもって事にあたれば道理は自ずから通ずるとも述べられています。
     最後に勝つのは和のチーム、和のスポーツ、和こそ強い。
    
  2. 篤(あつ)く三寶(仏、法、僧)を敬まえ。
     はなはだしく悪い奴はそうはいないとも述べられています。
     三宝を仲間・相手・審判にこじつけてみると感慨深い。
    
  3. 詔(みことのり)を承けては必ず謹め。
     審判のホイッスルは謹んで受けよう、と解釈。
     そうしないとゲームにならないですからね。
    
  4. 禮(れい)をもって(基)本とせよ。
     礼の意味は形式的な儀礼というより敬意の表現と解したい。
     上の人に礼がないと下は整わないとも述べられています。
    
  5. 明かに訴訟を辨(わきま)へよ。
     公平に裁けということらしい。
     審判をやるときも、指導をするときも・・・
    
  6. 惡を懲し善を勧めよ。
     勧善懲悪ってやつですね、異議なし。
    
  7. 人は各々に任有り。
     任とは、役目とか分担というより、任せる事と解したい。
     任せることなくして何の任務か。
    
  8. 早(と)く朝(まい)り晏(おそ)く退(まか)りでよ。
     コーチは先に練習に来て最後に帰りなさいってことかな。
     朝練などで途中から偉そうに登場するコーチは失格ですね。
    
  9. 信ずることは是れ義(ことはり)の(基)本なり。
     選手同士の信頼関係はゲームの行方を左右する。
     コーチと選手の信頼関係はチームの行方を左右する。
    
  10. 人が(自分と)違うことを怒るなかれ。
     我々は共に是れ凡夫とも述べられています。
     それを聖徳太子が言うんだから説得力1200%。
    
  11. 功と過を明察して賞罰必ず当てよ。
     よく観る、観察することが肝心。
     それなくして賞罰も指導もあったもんじゃない。
    
  12. 民に両主無し。
     複数のコーチが矛盾した指導をすると選手は困ってしまいます。
     コーチ間のコミュニケーションと育成理念のコンセンサスを大切に。
    
  13. 同じく職掌(つかさごと)を知れ。
     他の人の仕事を知っておくこと。
     コーチにも選手にも大切なことですね。
    
  14. 嫉(そね)み妬(ねた)むことなかれ。
     了見が狭くなってくると、相手はおろか仲間をも妬む。
     仲間を赦し、相手を認め、敗北は尊厳を持って受け容れよう。
    
  15. 私に背きて公に向く。
     己の欲のためではない、常に子どもたちのために。
     オヤジコーチなら親子師弟の試練と捉えるもよし。
    
  16. 民を使ふには時をもって行え。
     冬には冬の、春から秋にも各々の仕事があるように、時に適った指導が大切。
     プレゴールデンエイジ、ゴールデンエイジ等々、時に適った育成を。
    
  17. 夫(そ)れ事をば獨(ひと)り斷(さだ)むべからず。
     ワンマンコーチのチームはなぜか伸び悩む。
     選手同士が相談するチームはどういうわけか伸びる。
    


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