札幌の鯨

営業支援、 関西担当の後は北海道担当と相成りました。 今日で三度目の道行となります。 初回は朝里温泉での営業合宿に参加。 二回目からは札幌です。 10月、11月は最高の初秋乃至小春日和で、 青く抜けた空、小樽の海、札幌の旧友との再会いなどいろいろありましたが、 書き留めるのは面倒、かつ日々の暮らし(会社×サッカー×音楽×家庭)に終われ、 ま、いいか、とやり過ごしていました。

今日の出張は、上記の旧友にもフラれ、 ま、いいかの延長上。 とはいえ寒い中の北海道入り、 美味いものでも食って帰るべし、 やはり寿司か、でも遠出する元気はなし、 じゃカニか、でもカニと格闘する元気もなし、 ということでフラフラ歩いていて目に入ったのが 「おばんさい くじら亭」という屋号。

渋谷に「くじら屋」という店があります。 昨今珍しい、というか、東京では殆ど唯一の鯨専門外食店。 さすが札幌、こういうのもあるのだなと入店。

まるで女学生のような可愛い店員さんにうっとり、 やぁ、入って良かったなと一心地。 ソイの刺身で熱燗をやりながら、 カウンターすみにあったユージン・ラポワント氏 (元ワシントン条約事務局長、国際野生生物管理連盟会長) の著書
「地球の生物資源を抱きしめて - 野生保全への展望」

翻訳: 三崎 滋子
出版社: 新風舎 (2005/10)
ISBN-10: 4797476494 / ISBN-13: 978-4797476491
なぞヒモトイてチビリチビリやっていました。

「くじら亭」ってからには鯨を頼まないわけにはいかない。 おカミの勧めで鯨ベーコン+さえずり (タンのベーコンだそうな、くじら屋さんでは嘴と聞いたが) を注文。 ところがこれを持ってきたオカミの講釈が長い。 この店にしかないということを強調。 なるほど、香ばしくて美味い。 次は、やはりおカミ推薦の鯨のにぎり。 一貫が小さい、握りがあまい、けれど至って美味。 う〜ん、これは美味。。。

ともあれ、ラポワント氏の本は、たいへん興味深い。 普段、漠然と感じていた自然保護(?)活動への疑義や背徳の予感が明確且つ建設的に糾弾され、 地球規模の健康な思想(=真の道徳)へと誘って余りある内容がどのページを捲っても目に飛び込んでくる。 少々夢中になりながらチビリチビリやっていると、 カウンターに若い紳士が現れオカミに何やら頼んでいる。

「先生、宜しくお願いします」
「いまパソコンがこわれちゃって、新しいのは届いたんだけど」

そんなやりとりをやっている。 どうやらこのオカミは「先生」らしい。 そしてパソコンに難儀しているらしい。 すぐに連想したのは、オフクロです。 そう、「箸の本」の著者であり、箸の文化を説き、 かつては子ども達に箸の持ち方教室までやりながら、 おのが愚息(=小生)が握り箸というあの元大学教授。

どうやら、東京農大関係の方(違ったらごめんなさい)らしい。 北大にも出没しているらしい。 「ノグチ」という方らしい。 渋谷の「くじら屋」さんは仲間らしい、 が、首領(ドン)はどうもここ「くじら亭」のオカミ、基、先生らしい。 面白そうなので話しかけようと思ったが、お客さんがどんどん入店。 オカミは座敷に取られてしまった。

しばらくすると、カウンターに男女の二人連れが入店。 「あ〜らお久しぶり」とカウンターに戻ってきたオカミ。 が、その方々は耳が不自由らしい。 オカミは手話を開始した。 手話で応えるお客さん、ニコニコと手話で会話するオカミ。 ・・・ただ者じゃない。

会計の折、例の可愛い店員さんに、 「あなた、あのオカミのイチミですか?」 と尋ねると、笑顔で「ハイ」と答えてくださった。 札幌恐るべし。 また覗いてやろうと思います。


--- 7.Dec.2007 Naoki

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