絵:たくや君(埼玉県・8才)
作:デルピエ〜ロ橋本

第2話 森の王さま

あたりが うすぐらくなっても、
いじわるな オオスズメバチは
どいてくれません。
「あした 朝はやくきましょうよ」
と ゴマダラチョウ。
「しかたがないね」
と ヒカゲチョウ。
「そうしよう」「そうしよう」
と ほかの虫たち。
みんな あきらめて
ねぐらへ 帰ってしまいました。

「バカめ、オレたちに
かなうわけがないじゃないか。」
オオスズメバチは、わがものがおで
ミツをすっていました。
すると その木をゆうゆうと
のぼってくる虫が おりました。
茶色い からだに ギザギザの
はさみのような ツノが2ほん。
それは1ぴきの りっぱな
ノコギリクワガタでした。

「オレサマは、森の王さまノコギリクワガタだ。」
オオスズメバチは、びっくりして ふりかえりました。
「そこをどけ。じゃまするやつは、
この大きなツノで ちょんぎるぞ!」

「ひぇ〜!」と オオスズメバチ。
ちょんぎられては たいへんと、
いちもくさんに にげて行き、
ノコギリクワガタは、ミツに ありつきました。
「う〜ん、なかなかいいあじだ。
このミツは、じょうとうだなぁ。」

夜になると、
ミツの おいしい においにつられ、
ほかにも いろんな虫たちが
森のレストランを おとずれました。
オニベニシタバ、シロシタバ、
ミヤマカミキリ、コクワガタ。
けれど、ノコギリクワガタは、
いばって ミツを ひとりじめ。
「オレサマは、森の王さまノコギリクワガタだ。
じゃまするやつは、この大きなツノで ちょんぎるぞ!」
ちょんぎられては たいへんと、
みんなは ゆびを くわえるばかり。

つづく



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