絵:たくや君(埼玉県・8才)
作:デルピエ〜ロ橋本

第3話 じゅじょうの大けっとう

ブーーーン・・・ピタッ!
大きな はねの音がして、
なにやら そこへやってきました。
「うまそうだなぁ・・・」
そいつが、はなしかけました。
「オイラにもすこし なめさせておくれよ。」
「うるさい! オレサマは、
森の王さまノコギリクワガタだ。
じゃまするやつは、
この大きなツノで ちょんぎるぞ!」
ノコギリクワガタは、おこって
こたえてやりました。
「いいじゃないか、
オイラにもわけておくれよ。」
そいつは、あきらめないようです。
どんなやつだと見てみると、
それはずんぐり大きくて、
ちからじまんの カブトムシでした。

「うわっ!」と ないしん おどろいて、
ノコギリクワガタは、頭をあげました。
ツノをひらいて みがまえて、
ノコギリクワガタは 言いました。
「いいか! オレサマは、森の王さまノコギリクワガタだ。
じゃまするやつは、この大きなツノで ちょんぎるぞ!」
けれど、カブトムシは、こわがりません。
「オイラ はらぺこなんだ。
わるいが ちょっと どいてもらうよ。」
カブトムシは、頭をひくくして とっしんしてきました。

大けっとうの はじまりです。
けれど、ノコギリクワガタは、
カブトムシの はくりょくに
立ちすくんだまま うごけません。
ちからじまんの カブトムシは、
ツノをノコギリクワガタの おなかの下にいれると、
よいしょとばかり すくいあげました。

「うわーっ!」 クルクルクルクル、ドサリ!
ほうりなげられたノコギリクワガタは、
木からおっこちてしまいました。
おちただけならまだいいが、
そのまま あおむけになってしまいました。
「いてててて、まいったな、
これじゃ おきあがれやしない。」
手足をジタバタうごかして、
つかまるところをさがします。
けれどなかなか おきあがれずに、
しばらくそうしておりました。

「きょうは、ついてない日だな。
カブトムシに なげとばされた。」

「ひぇっ、ひぇっ、ひぇっ・・・」
どこかで げひんな 笑いごえがします。
見ると 1ぴきのケムシが、
すぐそばを はっておりました。
「なんだと! オレサマは、森の王さまノコギリクワガタだ。
オレサマを笑うやつは、この大きなツノで ちょんぎるぞ!」
ケムシは、ぜんぜん こわがりません。
だって、ノコギリクワガタが、
まだおきあがれずに いるのですから。
「ひぇっ、ひぇっ、ひぇっ、
なんてざまだ。そんな王さまがあるものか。」
おこった ノコギリクワガタは、
手足をジタバタうごかすけれど、
それでもやっぱり おきあがれません。
「ひぇっ、ひぇっ、ひぇっ・・・」
ケムシは、笑いながら 行ってしまいました。

つづく



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