夜の森
夜、森に行ったことありますか?
恐いですよね。
以前、クワガタ虫を採りに、夜中に一人で山へ入ったことが何回かありますが、恐かった。
一人肝試しって感じです。
で、最近は、毎晩そうなんです。
歌の練習をするために、夜の森に車で出かけるんです。
周りには池や田んぼもあるんですが、環境保全地区かなんかで、とにかく近くに人家がない。
そこが狙いではあるんですが、寂しいところです、街灯もない。
木蔭から幽霊が出そうだし、幽霊が出なくても強盗が潜んでたら気がつかないだろうし、強盗がいなくても野犬だの蝮だのがいてもおかしくないし、考えただけでもぞっとします。
トランクからギターを取り出すときは、ほんと、一人肝試し状態で、再び車内に入ったときは必ず施錠します。
歌の方は一向にうだつが上がらないのに、夜の森はどこまでも暗い。
僕は、自分が一人になることが好きな人間だと思っていましたが、最近は駄目ですね、実に寂しい。
でも、ちょっと耳を澄ますと、蛙が喜んで大合唱してたりして、やっぱり生命の息吹のようなものは伝わってくるんですね。
夜の森は、まぁ物騒は物騒ですが、恐いと感じるのはその人の問題でね、森の仲間達には楽しい時間だったりする。
完全に一人ぼっちになんて、そうそうなれるもんじゃないんですよね。
--- 2.May.1997 Naoki