AI

 ちょっとびっくりなニュースに思わずエッセイ。 どうやらAI(人工知能)が囲碁で人間のプロに勝ったようですね。 既に、オセロ、チェス、将棋(電王戦, 2010-2015年)などで、最も強いレベルの人間にコンピュータが勝てるようになったのはご存知の通り。 けれども、囲碁は圧倒的に複雑。 ゲームの最初から指せる全ての手の数は、将棋で10の226乗通りあるといわれますが、囲碁ときた日には10の360〜400乗通りほどと見積もられています。 地球上の砂浜にある砂粒の数が10の17乗個ほど、全宇宙の星(恒星)の数が10の22乗個ほどという試算に比べれば、その膨大さは無限の領域。 なので、コンピュータが囲碁で人間を凌ぐとしても、せいぜい2030年頃になるだろうと予測されていました。 が、早かった。

 なぜ今世紀、これほど急激にAIの成長が早まったのか。 前世紀まで、コンピュータ(生徒)は人間(先生)からデータ(知識)と計算式(考え方)を与えられて動くだけでした。 ところが、今世紀に入ると、コンピュータが自ら試行錯誤を重ねて最適解を見出していく「自己学習機能」を持つようになったのだとのこと。 自ら試み、自ら学ぶ、これが始まると飛躍的に成長するのですね。

 2025年頃には言語を自ら習得し、2030年頃には知見を自ら獲得するコンピュータが登場すると言われていますが、これも早まるかもしれません。 画像認識や自動運転などは、既に実用が検討されています。 そんなもの機械に任せられるか、と、古い我々は考えますが、おそらく人間より正確で優秀な医者や運転手が登場するでしょう。

 でも、ちょっと怖くありませんか? AIを搭載したロボットが労働者の職場を奪う。 AIが事業判断、行政判断、司法判断、果ては政治判断まで行う。 AI搭載車両やドローンが無人装甲車や無人戦闘機として暗躍する、、、 天才物理学者S・ホーキング博士は「AIは核兵器より危険だ」と警鐘を鳴らしています。

 AIに携わる科学者達は、新たな課題と向き合っています。 速くなった、巧くなった、強くなった、けれどそれでは足りない。 次は倫理だ、というわけです。 この分野は黎明期と言わざるを得ません。 まだまだデータ(知識)と計算式(考え方)を与える人間(先生)が必要とされる分野であろうと思います。


ソラ見たことかと言われないように(写真は三田から見たソラ)

--- 2016/1/28 Naoki

back index next